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補聴器を買う前に!「あなたの聞き取り力」を客観的に知るための「聴能測定」の流れ
補聴器は安い買い物ではありませんし、「行ったら買わされるのでは」と不安に感じる方も多いと思います。
当店では、いきなり補聴器をおすすめすることはありません。
まずは、ご自身の「現在の聞こえの状態」をきちんと知っていただくことから始めます。
流れは、おおまかに次の3ステップです。
【ステップ1】静かな環境での聴力測定(音の入り口チェック)
防音室などの静かな場所で、「どのくらい小さな音まで聞こえるか」を調べます。
どの周波数(音の高さ)がどのくらい聞き取りにくくなっているかをグラフにしたものが、「オージオグラム」です。
ここでは、耳という“アンテナ”の状態を確認します。
【ステップ2】語音明瞭度による聴能測定(言葉のテスト)
次に、「言葉の聞き取りテスト」を行います。
あらかじめ決められた日本語の単語リスト(例:67S など)を使い、音量を変えながら単語を聞き取っていただき、「何%くらい正しく聞き分けられているか」を調べます。
このとき、
・どのくらいの大きさの音なら一番よく分かるのか
・その状態で、何%の言葉を正確に聞き取れているか
といった点を、数値としてはっきりさせます。
これを「最高語音明瞭度」と呼びます。
同じ「軽度難聴」と診断されていても、
・言葉の正解率が90%の方
・50%まで落ちている方
とでは、将来のリスクも、補聴器で期待できる効果も、かなり違ってきます。
補聴器は魔法の道具ではないので、その人の「聴能」の力を超えて、いきなり100%にすることはできません。
だからこそ、今の「言葉の聞き取り力」を知ることが、とても大事な一歩になります。
【ステップ3】結果の「見える化」と、今後の選択肢のご説明
最後に、聴力と聴能の結果を、グラフや数値を使って分かりやすくご説明します。
・あなたの「聴こえのアンテナ」のどの部分が弱っているのか
・今のまま放置した場合、将来どのような聞き取りのリスクがあるのか
・補聴器を使った場合、どの程度の改善が見込めそうか
こういった点を、できるだけ専門用語を使わず、お話しします。
そのうえで、
・今すぐ補聴器を検討したほうが良いのか
・まだ経過観察で大丈夫なのか
・いつ頃から使い始めると、脳のリハビリ効果が出やすいか
などを、一緒に考えていきます。
「測定だけして、今はまだ様子を見る」という選択も、もちろん可能です。
3-2.「今はまだ我慢できる」と感じている方へ
「大きな声なら何とか聞こえるから、まだ大丈夫」と感じている方は、実は要注意です。
その聞きにくさは、
・単にボリュームの問題(聴力)なのか
・すでに言葉を処理する脳の力(聴能)が落ち始めているのか
自分では、なかなか区別がつきません。
ご家族も、「年齢のせいかな」と思っているだけで、深刻さに気づいていないことが多いです。
聴能の低下は、本人の感覚だけでは分かりにくく、客観的な測定をしないと見つけにくいものです。
補聴器を買う前に、「まずは自分の状態を知る」こと。
これが、将来の会話のしやすさを守るための、いちばん大切な第一歩です。
私たちは、補聴器をすぐに販売することを目的にしていません。
目指しているのは、「お客様が将来も、家族や友人との会話を楽しめるようにお手伝いすること」です。
「聴能測定だけ」「話を聞くだけ」でも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
一緒に、あなたの「言葉の聞き取り力」と、これからの聞こえ方について考えていきましょう。
まとめ
・「聴力」と「聴能」は、まったく別の能力です。
・一般的な聴力検査だけでは、あなたの本当の「聞き取り力」は分かりません。
・聞こえにくさを放置すると、脳が言葉を処理する力が衰え、リハビリが難しくなってしまいます。
だからこそ、「今はまだ何とか我慢できる」と感じているうちに、自分の聴能の状態を知っておくことが大切です。
当店では、強引な販売や契約は一切行っていません。
まずはお気軽に、お電話やホームページからお問い合わせください。
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