「補聴器を使うと、すべての音が同じレベルで聞こえてしまい疲れる」

というご意見をネットでよく見ます



これは補聴器を使い始めたばかりの方や、調整が不十分な場合に起こりやすい現象です。
原因としては、以下の点が考えられます。



  • 脳の慣れの問題: 難聴の状態が長く続くと、脳は静かな環境に慣れてしまいます。補聴器を装用することで、今まで聞こえなかった様々な音が急に入ってくるため、脳が処理しきれず「うるさい」「疲れる」と感じることがあります。


  • 補聴器の調整不良(フィッティングミス):
    • 音量のゲイン(増幅)が適切でない:全体的に音量が大きすぎる、または特定の音域だけが強調されすぎている可能性があります。周波数特性の調整不良:聞こえにくい音域だけを増幅するのではなく、聞こえている音域まで増幅してしまっている可能性があります。環境設定の不適切:静かな場所と騒がしい場所で補聴器のプログラムが適切に切り替わっていない可能性があります。

    補聴器の機能による影響:
    • 指向性機能の不適切な設定:周囲の音を均一に拾ってしまい、聞きたい音と騒音が区別しにくい場合があります。ノイズ抑制機能の不適切な設定:必要以上にノイズを抑制しようとして、かえって不自然な聞こえになっている場合があります。

    補聴器の装用方法の問題:
    • 耳栓(イヤーチップ、イヤモールド)が合っていない:隙間があると音が漏れてハウリング(ピーピー音)の原因になるだけでなく、音質のバランスが悪くなることがあります。

    補聴器への慣れ不足: 補聴器を装用し始めたばかりの頃は、今まで聞こえなかった音に脳が過敏に反応し、疲れてしまうことがあります。
  • 対処法としては、以下の点が重要です。

  • 補聴器を購入した専門店に相談し、再調整(フィッティング)を依頼する:
    • どのように聞こえて疲れるのか、具体的に伝えましょう(例:特定の音が大きく感じる、全体的に騒音がうるさい、など)。音量のゲイン調整、周波数特性の調整、環境プログラムの設定などを細かく調整してもらう必要があります。必要に応じて、耳栓の種類やサイズを変更してもらうことも検討しましょう。

    補聴器の装用時間を長くする:
    • 最初は静かな環境から始め、徐々に騒がしい環境での装用時間を増やしていくことで、脳が新しい音に慣れていきます。
  •   着けたり外したりをしていると、いつまでも脳が音に慣れません。無理のない範囲で時間を延ばしましょう。

  • 補聴器の機能設定を見直す:
    指向性機能やノイズ抑制機能の設定を、聞こえの状態や使用環境に合わせて調整してもらいましょう。

  • 根気強く補聴器を使用し続ける:
    • 脳が新しい聞こえに慣れるには時間がかかる場合があります。すぐに諦めずに、専門家と連携しながら訓練を続けることが大切です。

    聞こえの訓練を行う:
    • 静かな場所で、家族や親しい人とゆっくり会話をする訓練を行うことで、特定の音を聞き取る訓練になります。

    大切なこと:
    「補聴器をつけると疲れる」というのは、決して珍しいことではありません。しかし、適切な調整と訓練を行うことで、多くの方が快適に補聴器を使用できるようになります。諦めずに、まずは購入された専門店に相談してください。

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