補聴器はお近くの信頼できるお店で
先日、知り合いの方から補聴器のご相談を頂きました
大変ありがたかったのですが、遠方だったためにご遠慮させて頂きました
大きな理由としては5つありました
①正確な測定が出来ない
②聴力や身体の状態、使用状況に合わせて補聴器を選定し、試聴体験をしないと選定が出来ない
③補聴器はリハビリと細かな調整が必要
④補聴器の効果が確認できない
⑤アフターサポートが難しい
まず①ですが、通常防音室にて聴力(気導・骨導)・最高語音明瞭度測定の測定を行います
聴力によってお勧め出来るメーカーや機種が変わります
最高語音明瞭度測定をしないとその方の持っている聞き取り能力が分かりませんし、補聴器の効果を判断することも難しくなります
通常はこの2つの測定を行わないと、機種の選定を行うことは出来ません
②ですが、補聴器は試聴し、使用してみないと装用者に合うか分かりません
通常デモ機を試聴体験後、1週間後に再調整と装用確認、2週間後に再度調整し、継続使用可能かを判断します
その後、新品の補聴器を取り寄せし、調整・確認後取り扱いの説明、お渡しとなります
③ですが、基本的には補聴器は脳のリハビリが必要な補装具です
耳は音を集め電気信号に変えて脳に送り、脳で実際に音の判断をしています
音が入らない状態が続いた脳は能力が低下し、音が再度入って来ても、音を判別することが難しくなってしまいます
同時に静かな環境に慣れた脳は、暗闇から明るい所に出ると眩しく感じる様に、色々な音が凄くうるさく感じてしまいます
ひどく疲れたり、頭痛がしたりする場合もあります
少し弱めに音を入れ、徐々に音に慣れながら、雑音と言葉の聞き分けや、言葉の再学習などをしていく必要があります
当店では最初は音量を抑え、3か月程度をかけて段々と音を上げながら補聴器が体の一部になる様に調整して行きます
そのために何度も調整を繰り返す必要があるのですが、遠方ではそれを行う事が難しくなります
通常1年目は10回程度は対応しますが、お客様によっては装用自体が難しく、2か月程毎週装用の練習を行う事もありました
(以前の会社では訪問し過ぎると注意されましたが)
④店舗では補聴器を装用して、補聴器での聞こえが問題ないか、調整が必要ないかを確認します(特殊な設備が必要です)
これをしないと補聴器での聞こえが改善しているかを判断する事が出来ません
先日、他店購入のお客様がいらっしゃいましたが、言葉が聞こえないと仰られたので、効果を確認すると、中域の音は少し改善していましたが、低音と高音が逆に悪くなっており、半分耳栓の様な状態になっておりました
この様な事を防ぐ為にも必要な測定となります
⑤補聴器は精密機械なので、メンテナンスが必要です
通常3か月毎のクリーニング、半年ごとの聴力測定と調整をお勧めしております
さらに、部品も小さいのでトラブルが起こることもあります
遠方だと、すぐに対応することが難しくなります
補聴器は一般的には耐用年数が5年と言われております。
この間30回程度の対応をさせて頂く事になります。
ですので、補聴器の購入は信頼出来る近くのお店でのご購入をお勧めしております
きこえのリハビリについては別の回に書きたいと思います。
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