「8020」の次は「8080」へ!

耳から始める、脳のアンチエイジング

最近、こんな経験はありませんか?

「え、今なんて言った?」と聞き返すことが増えた
家族に「テレビの音、大きいよ」と注意される
騒がしい場所での会話が終わると、どっと疲れてしまう

これらは単なる「年のせい」と片付けられがちですが、実はあなたの脳が発している重要なサインかもしれません

体のアンチエイジングと同じくらい、これからの時代に大切なのが「脳のアンチエイジング

その鍵を握っているのが、意外にも私たちの「耳」なのです

歯科の「8020」から、脳の「8080」へ

健康長寿の目標として、歯科の「8020運動(80歳で20本の歯を保つ)」は有名ですよね

生涯、自分の歯で美味しく食事を楽しむことは、体の健康と人生の豊かさに直結します

では、耳と脳についてはどうでしょう?
私は、聞こえと脳の健康を守るための新しい目標として「三つの80」を提案します

8020(歯の健康):80歳で20本の歯を保ち、「食べる力」を維持する

8030(耳の基礎体力):80歳で会話に必要な音域の聴力(必要時は補聴器活用)を30dBHL台に保ち、「音をキャッチする力」を維持する

8080(脳の言葉力):80歳で言葉の聞き取り能力(語音明瞭度)を80%に保ち、「言葉を理解する力」を維持する



この「8080」こそが、脳のアンチエイジングを目指す上で最も重要な指標です
単に音が聞こえるだけでなく、「言葉の意味を正確に理解できる脳の力」を保つことが、私たちの生活の質を大きく左右します

なぜ「耳」が脳のアンチエイジングの鍵なのか?

一言でいえば、「音は、脳にとって最高の栄養」だからです

私たちの脳は、耳から入る音の情報を栄養にして活発に働いています

しかし、年齢とともに聞こえが低下すると、脳に届く「音の栄養」が不足します

特に、サ行やタ行などの聞き取りにくい音が増えると、脳は聞こえない部分を必死に「推測」しようとフル回転します
これは、脳にとって「見えない重りを背負って走り続ける」ようなもの

本来、記憶や思考に使うべきエネルギーが推測作業に奪われ、脳はどんどん疲弊してしまいます

この状態が続くと、どうなるでしょうか?

脳は十分な刺激を得られず、やがて萎縮(いしゅく)していきます
脳が萎縮すると、記憶力や思考力といった認知機能が衰え、言葉を理解する力も低下するなど、日々の生活に大きな支障をきたすようになります

人との会話が億劫になったり、外出が減ったりするのは、脳が「音の栄養不足」に陥り、社会とのつながりを維持するエネルギーが枯渇しているサインかもしれません
近年の研究では、難聴が認知機能低下の修正可能なリスク因子の一つであることも指摘されています(The Lancet Commission)

補聴器は「脳のパーソナルトレーナー」


「補聴器はまだ早い」「年寄りくさい」──そんなイメージをお持ちではないでしょうか?

実は、補聴器は単に音を大きくする道具ではありません
それは、あなたの脳にとっての「フィットネスジム」であり、「パーソナルトレーナー」のような存在です

人間の体は、使われない機能が衰えやすいもの
筋肉は鍛えれば元に戻りますが、脳は少し違います
一度萎縮してしまった脳が、元通りの大きさに物理的に戻るわけではありません

では、もう希望はないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません
だからこそ、できるだけ早く対策を始めることが重要なのです

脳には「可塑性(かそせい)」という素晴らしい力があります
これは、物理的な萎縮は元に戻らなくても、残された神経細胞を繋ぎ直し、機能を向上させることが可能だという能力です

補聴器は、この「可塑性」を最大限に引き出すための強力なサポーターです
脳に適切な「音の栄養」を届け続けることで、言葉を理解するための神経ネットワークを強化し、その機能を維持・改善させる助けとなります

「まだ早い」はありません
アンチエイジングは、始めるのが早いほど効果的です
補聴器は、あなたの脳の健全な状態を維持し、豊かな人生を長く続けるための鍵なのです

今日から始める!「8080」を目指す3ステップ


脳のアンチエイジングは、早く始めるほど効果的です。今日からできることから始めてみましょう

STEP 1:測る(現状を知る)
まずは、自分の現在地を知ることが第一歩
体の健康診断と同じように、「耳の健康診断」を受けましょう
純音聴力(8030の指標)と語音明瞭度(8080の指標)を測定します

STEP 2:整える(生活習慣を見直す)
日常生活のちょっとした工夫で、脳の負担は減らせます

会話は相手の顔を見て、正面から

テレビに字幕を表示させて、目と耳の両方で情報を得る

毎日10分、新聞などを声に出して音読する
自分の声が耳に戻るのを感じることで、脳の言葉の回路を強化します



STEP 3:補う(テクノロジーを活用する)
必要であれば、専門家のサポートを積極的に活用しましょう

聞こえに不安を感じたら、早めに補聴器を検討する

会議や講演会など特定の場面では、リモートマイクなどの補助機器も有効です

【1分でできるセルフチェック】

3つ以上当てはまる方は、一度専門家への相談をおすすめします

□ 「え、今なんて?」が増えた
□ 家族にテレビの音が大きいと言われる
□ ざわざわした場所で言葉が混じる、早口やマスク越しの声が苦手
□ 電話が聞き取りにくい、または会話の後にぐったり疲れる
□ 相手の口元をよく見る、または左右で聞こえが違う気がする

【よくある疑問】

Q. 補聴器は年寄りくさく見えませんか?
A. 今は小型・高音質で目立ちにくい機種が主流です

目的は若作りではなく、「会話と外出を続ける自由」を守ることです

Q. 付けたらすぐ聞こえるようになりますか?
A. 個人差はありますが、脳の慣れには一般的に約3か月程度かかると言われています
毎日の装用と場面練習で、体感は改善しやすくなります
当店では、音に段階的に慣れる、言葉の聞き取りのトレーニングを実施しております

Q. 明瞭度80%なら本当に困らない?
A. 静かな環境・標準的な話速では困りにくい方が多い目安です
雑音や早口、離れた場所などの場面では、座席の工夫やマイク、字幕などで聞き取りやすさを上げる(SNRを改善する)工夫が別途必要になります

「8080」は、未来の自分への最高の投資

「8080」を達成できれば、80歳になっても家族との団らん、友人との旅行、新しい趣味への挑戦を心から楽しむことができます
それらすべてが、最高の脳のアンチエイジング活動になるのです

「まだ早い」はありません
脳の健康は、待っていても始まりません
まずはご自身の「耳と脳の現在地」を知ることから、始めてみませんか?

当店では「耳と脳の健康チェック」として、純音聴力と語音明瞭度を測定し、その場で結果をご説明いたします
押し売りは一切いたしませんので、お気軽にご相談ください



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